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山梨県

甲州市

旧塩山市 山梨郡 甲斐国
秋葉神社 -
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甲斐国主の武田氏や信濃国主の小笠原氏の祖になった新羅三郎義光が建立したという神社。

 塩ノ山

 山梨県の旧国名は「甲斐国」で、その首府が「甲府市」である。
 ところが平成の大合併で、その周囲に「山梨市」「甲斐市」「甲州市」「中央市」が乱立した。これはちょっとひどいと思う。
 この諏訪大神社があるのはこのうち「甲州市」であるが、大合併以前は「塩山市」だった。これが勝沼町などと合併して甲州市と改めたものである。一帯はブドウや桃の果樹園が広がり、勝沼ワインなども知名度があるのだが、塩山市側としては「勝沼市」はダメだったのだろう。「塩山」に全国的な知名度があったとは思い難いが・・・。 

所在

山梨県甲州市塩山上於曽

創建

祭神

火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)
火之迦具土神は炎の神である。イザナギとイザナミとの間の子として生まれるが、炎の神だったために出産の時にイザナミが火傷をして死んでしまう。怒ったイザナギが十拳剣でカグツチを殺すと、その死体から様々な神が生まれる。カグツチは全国の秋葉神社で祀られている。

 ▲塩山駅
 平成の大合併で、甲府盆地の東部では「塩山市」と「勝沼町」などが合併して「甲州市」となった。言うまでもなく「甲州」というのは山梨県の旧国名「甲斐国」のことなのだが、困ったことに、お隣に「甲斐市」があり、その隣には「甲府市(甲斐国の首府)」があり、さらに隣には「山梨市」ができ、その隣に「中央市」ができた。今となっては何がなんだかもうわからないのである。
 甲州市となったあとも、市役所のそばにあるJR中央本線の駅名は今も「塩山」のままである。内陸の地名に「塩」がつく場合、海がないが塩を産したなどの由来があることがちょくちょくあるが、ここの場合は「四方」が転訛したものである。
 塩山駅の北には、標高553メートルの「塩ノ山」がある。標高533メートルと言っても、甲府盆地自体が標高400メートルほどの位置にあるので、駅から眺めた山の高さは100数十メートルほどしかない。しかしなだらかな盆地の真ん中にぽつりとあるので四方から山を望むことができ、「四方の山」と呼ばれるようになったのだろうと考えられている。
 1380年(康歴2年)に、「四方ノ山」の麓に向嶽寺が建立された。このときに「しおのやま」を「塩の山」と読んでさらに音読みの「えんざん」で山号とした。これが後の塩山市の地名の起源である。
 ▲塩山駅前の民家。塩山には史跡が多い。

「四方の山」は、平安時代の『古今和歌集』では「志保の山」と詠まれている。そのなかでも特に有名な和歌に次のようなものがある。

 志保の山 差出の磯に住む千鳥 君が御代をば 八千代とぞ鳴く

この歌を眺めると、誰しもが「君が代」の歌詞を連想するだろう。この和歌は平安時代から「とても縁起がいいもの」として愛好されてきた。

愛好されすぎて、山梨に行ったこともなければ「志保の山」を見たこともないような人たちさえも、こぞって「志保の山」や「差出の磯」を絵に書いたり文字に書いたりした。

もちろん見たこともないもんだから、夢のような桃源郷として描いている。室町時代にはその桃源郷「塩山」を蒔絵にする者まで現れる始末であった。
 ▲重要文化財「塩山蒔絵硯箱」 室町時代の作品。京都国立博物館所蔵。
 実際の「差出の磯」というのは、「志保の山」から南西に4kmほど行った辺り、笛吹川の右岸に岩山の裾が岬のように突き出た場所があり、そこを指している。

塩山は、特に甲斐武田氏(武田信玄・勝頼)と縁が深い。武田家の菩提寺である恵林寺は塩山にある。ここは織田信長が武田氏を滅ぼした時に最期まで抗い、焼き払われた。その際に快川紹喜が叫んだという「こんな炎などなんともないわ!むしろ涼しいくらいじゃ!わっはっは!」というセリフは、「心頭滅却すれば火もまた涼し」という名言として今も伝わっている。(言うまでもないが、実際には涼しいどころか焼死している。)

山梨に行くときは必ず熱いほうとうを食べる。それが私のジャスティスだ。 
たとえひまわりが咲き乱れる真夏であろうとも。心頭滅却すれば火もまた涼しじゃ!
食後に真夏の道を2時間歩くことになろうとも。それで熱中症になろうとも。

上で書いたように、地名「塩山」の直接の由来は「志保の山(塩ノ山)」の麓にある向嶽寺である。
そしてその向嶽寺の境内に秋葉神社がある。





境内の忠魂碑。


【山梨県神社庁データ】
名称 秋葉神社 No

 

所在 山梨県甲州市塩山上於曽 TEL
FAX
例祭日
社格
祭神 火之迦具土神
交通
社殿
境内     
氏子世帯 崇敬者数 
摂末社
備考 

西暦 元号 和暦 事項 備考
             
             
             
             
             
             
             
1739 元文 4     火伏せの神を勧請し、秋葉神社を建立。  
             
             
             
             
     

【関連寺社】
*秋葉神社(静岡県)


【参考資料】
『日本歴史地名大系 山梨県の地名』(平凡社、1995)
『山梨県地名辞典』(角川書店、1984)

【リンク】
*神社探訪 狛犬見聞録・注連縄の豆知識(秋葉神社)
*



参拝日:2010年07月28日
追加日:2017年03月11日

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