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長野県

長野市

旧・鬼無里村 上水内郡 信濃国
春日神社 -
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村社
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京の都の香り漂う山間の郷、鬼無里の春日社。

鬼無里西京

信州・鬼無里の奥地には京の都を模した地名が並んでいる。春日神社のある西京と、加茂神社がある東京、そして二条、三条、四条、五条などがそれである。

所在

長野県長野市鬼無里西京6819

創建

祭神

天児屋根命(あめのこやねのみこと)
天児屋根命は春日権現や春日大明神とも呼ばれ、全国の春日神社の主神である。
アマテラスが天の岩戸に隠れたときに、天児屋根命はその前で祝詞を奏上し、アマテラスが少し扉を開いたときに鏡を差し出した。中臣氏(=藤原氏)は春日神を祖神としている。

 ▲鬼無里を流れる裾花川沿いの水田。
 かつて日本の都を信濃国に移そうという計画があった。その候補地とされるのが鬼無里村である。

 『日本書紀』や『古事記』によると、4世紀から7世紀のあいだ、天皇は数年おきに遷都を繰り返していた。ほとんどの場合は奈良か京都、或いは難波あたりの範囲に収まっていたが、時には近江(滋賀県)や朝倉(高知県または福岡県)に遷都したこともある。

 671年の暮れ、天智天皇が近江の都で崩御すると、その弟と息子の間で跡目争いが起きる。これが壬申の乱である。天智天皇の子、大友皇子は都付近の軍勢を集めて戦い、天皇の弟大海人皇子は美濃国を経て信濃国へ逃走した。しかしそこで信濃の兵を集めて都へ進撃し、大友皇子を打ち破った。勝った大海人皇子は天武天皇として672年の夏に即位した。

 白鳳13年(685年)、天武天皇は信濃国への遷都を計画した。まずは下調べとして三野王(みののおおきみ≒美濃王)を派遣し、候補地の選定や測量を行わせた。鬼無里はその候補地だったとされている。
 ▲「西京」・「東京」など、京の都を模した地名

戸隠と並ぶ信州の秘境、鬼無里村。人口2000あまりで、いわゆる無医村でもあった。その鬼無里村も平成の大合併で長野市に吸収され、今は長野市鬼無里となった。

ここを流れる裾花川の南岸を「西京」、北岸を「東京」という。東京にはさらに二条、三条、四条などの小字がある。これらの地名はみやこを模したもので、平安時代に京から逃れてきた紅葉という聖女のためのものだったともいう。西京には春日神社が、東京には加茂神社 が祭祀されている。

西京地区と東京地区をあわせて「両京」と呼ぶ。両京地区は鬼無里村の奥地のなかの中心集落で、かつては西京と東京にそれぞれ学校もあった。


国道406号沿いに立つ春日神社入り口の看板。
その反対側には、旧小学校舎を再利用したスポーツセンターがある。



春日神社
Kasuga Shrine

天武天皇が遷都の地検分のため派遣した三野王が来村して、白鳳年間に創建した社という。

社伝によると、白鳳13年(685年)に三野王が遷都の調査のために鬼無里にやってきて、春日神社を創建したのだという。

こちらが社殿。いわゆる春日造である。
鬼無里は豪雪地帯であるので、
江戸時代(寛政9年/1790年)に建造された本殿はこの建物の中にカバーされているらしい。


山の中のお社に行くとこれぐらいの状態はちょくちょくあるが、
さすがにこれを使う勇気はなかった。


神楽殿。




【長野県神社庁データ】
名称 春日神社 No

 

所在 長野県長野市鬼無里西京6819 TEL
FAX
例祭日 8月27日(穂祭)
社格
祭神 天児屋根命
交通 JR「長野」駅から「鬼無里」行バスで約1時間。
終点「鬼無里」下車後、長野バス「南鬼無里線」で約17分「東京口」下車。(一日4便)
社殿 本殿(春日造・板葺・三間社/長野市指定文化財)、本殿覆舎、幣殿、拝殿、神楽殿、社務所、鳥居
境内  305坪    
氏子世帯 崇敬者数 
摂末社
備考  社宝
・御神体一軀(鎌倉時代の作)
・六文銭幕一張
・棟札二枚合わせ 寛文2年

西暦 元号 和暦 事項 備考
             
672         壬申の乱。信濃の兵の協力で天武天皇が勝利。  
685 白鳳 13     天武天皇が信濃国への遷都を計画。三野王を派遣。
春日神社の創建。
 
             
782
-
806
延暦年間       京都から官女「紅葉」が流されてくる。「東京」「西京」をつくる。  
             
             
1759 宝暦 9     松代領神社取調帳に「春日大明神」と記載。
松代藩主が一石を寄進。
 
1790 寛政 2 10   本殿・祝詞殿の再建。  
             
1871 明治 4     松代県神社台帳に「春日社」と記載。  
1882 15      日影村神社調に「春日社」と記載。社格は雑社。   
             
             
1944 昭和 19 11 26 村社に列格。   
1955 31 5 1 宗教法人設立。神社本庁に所属。  
             
             
     

【参考資料】
『鬼無里村史』(鬼無里村、1967)
『県史20 長野県の歴史』(山川出版社、1997、2010)
『長野県 地学のガイド』(コロナ社、1979、2001)
『長野県百科事典』(信濃毎日新聞社、1974、1981)
『長野県の歴史散歩』(山川出版社、2006、2011)
『長野の大地見どころ100選』(ほおずき書籍、2004)
『長野県の山』(山と渓谷社、2010、2015)
『長野県地名辞典』(角川書店、1990)
『見る知る信州の自然大百科』(郷土出版社、1997)
『信濃の橋百選』(信濃毎日新聞社、2011)

【リンク】
*おみやさんcom(春日神社)
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参拝日:2009年07月15日
追加日:2017年03月06日

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